2023年公開の映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』は、鬼太郎の父ゲゲ郎と若き水木を主軸に描いたアニメです。
「なぜ鬼太郎は左目を失ったまま誕生したのか?」というシリーズ最大級の謎を描き出した名作ですが、実際に左目を奪われた理由を明確に紹介していません。
そこで今回は、原作『墓場鬼太郎』における“左目喪失”の経緯や、戦争で左腕を失った作者・水木しげる本人の体験を重ね合わせることで、映画が示した新解釈と水木の未来像から考察してみます。
- 鬼太郎の“左目喪失”シーンの原作
- 「ゲゲゲの謎」で描かれた左目の考察
- 水木茂の実体験と描写
- 水木のその後について
原作第1巻:鬼太郎の“左目喪失”シーン要約
鬼太郎の左目が無い理由は描かれる物語によって異なります!
まずは原作でどのように描かれているのか紹介していこうと思います!
レンタル漫画版(1959)『幽霊一家』

“鬼太郎は墓から這い出すや、驚いた水木に突き飛ばされ 墓石で左目を潰してしまう” ─ 原文より抜粋(50字以内)
- 鬼太郎は墓場で生まれてきた。
- 墓場の鬼太郎を見つけた水木が反射的に払いのける。
- 石に頭部を打ち付け、左目のみ失明。
この「人間の恐怖心が生んだ偶発事故」という構図は、後年のアニメ『墓場鬼太郎』第1話でも踏襲されているますね。
「ゲゲゲの謎」で描かれた左目の謎
鬼太郎の左目が無いのは、父が受け止めきれなかった幽霊族の怨霊が、鬼太郎の誕生と同時に 呪いとして形を成した結果――そう解釈すると、物語全体の因果とテーマがひとつに収束します。
- 怨霊の連鎖
父が身を挺しても恨みを完全に鎮めきれず、呪いは子へと継承。 - 時間のねじれ
洞窟内外で時間の流れが異なり、水木の白髪や墓の準備がそれを裏付ける。 - 左目喪失の象徴性
鬼太郎の欠けた左目は、“怒りと悲しみを見つめる目”として怨念を宿す器となった可能性。
龍賀一族と血液製剤 M
- 龍賀一族が支配する村では、幽霊族の血液を用いて「血液製剤 M」を密かに生成していた。
- 幽霊族は人体実験の犠牲となり、その怨念が妖怪 「狂骨」を多数生み出した。
鬼太郎の父と水木の救出劇
- 鬼太郎の父は、妻(=鬼太郎の母)が血液製剤 Mの材料として囚われている事実を知る。
- 水木と協力し、妻を救出することに成功。
- しかし洞窟に渦巻く強大な怨念(幽霊族や狂骨の恨み)を封じるため、父は自ら洞窟に残る。
怨霊を引き受け、肉体が消失
父は封印されていた怨霊を解き放ち、「恨みを自分が引き受ける」と決意。
その結果、目玉以外の肉体はすべて消滅した。
消える直前に発した言葉「やはり自分の身体だけでは恨みは晴れぬか」これは、怨念が 鬼太郎誕生後も残り続けることを示唆している。
水木が抱えた時間経過の謎
- 救助された水木は
- 白髪になっていた
- 鬼太郎の母の墓が用意されていた
- これらは、洞窟での出来事から 相当な時間が経過した可能性を示す手掛かり。
墓場から現れた鬼太郎と「左目」の欠損

鬼太郎の肉体(とりわけ左目)に呪いとして残ったという考察が成り立つ。
白髪の水木は、墓場から這い出る鬼太郎の誕生を目撃しており、その時点で鬼太郎の左目は存在しなかったことから父が吸収しきれなかった怨念が残ったのではないか。
もちろん、「じゃあ何で父は目玉のこってるの?」という疑問は出てきそうだが、逆に言えば父から奪えなかったものを子供から奪ったとも捉えることができるので、ここは読者の感性で楽しんでもらいたいですね!
鬼太郎の左目が無い理由は水木しげる実体験
- 戦場で左腕を失う(1943・ラバウル)
- 帰国後、右手で描く漫画家生活へ転身
- “欠落”を“創造”に昇華する哲学
水木本人が「失ったからこそ見えたものがある」という言葉を残しており、これは左目を失った鬼太郎を描く重要なファクターだったことが理解できますよね。
つまり、水木しげるの実体験は作品に大きく影響してるのかもしれないですね。
水木のその後は鬼太郎を育てた!

アニメ第6期「ゲゲゲの鬼太郎」で語られています!目玉おやじが「赤ん坊の頃、鬼太郎は“水木という青年”に育てられた」と明言されています。
目玉おやじが水木への恩義を語るシーンがあるため、水木は龍賀一族の一件の後に鬼太郎と過ごした期間が数年あると考えられます。
その後、アニメでは目玉おやじ・鬼太郎が「旅を選んだ」というニュアンスの発言があることから、目玉のおやじと鬼太郎が自分自身で水木のもとを去って行ったことが分かりますね。
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FAQ
Q1. そもそも、なんで鬼太郎は左目が無いの?
A. 原作(1959 年レンタル漫画版)は「墓場で生まれた直後に水木青年が思わず突き飛ばし、墓石で潰した」という事故。 一方、映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』では “幽霊族の怨霊が父から子へ受け継がれた呪い” という設定にアップデートされています。
Q2. 血液製剤 M って何者?
A. 龍賀一族が幽霊族の血液をこっそり抽出して作った禁断の薬。人体実験のせいで犠牲者が続出し、怨霊や妖怪〈狂骨〉も大量発生しました。
Q3. 鬼太郎の父(ゲゲ郎)は最後どうなった?
A. 洞窟にとどまり怨霊を全部引き受けた結果、身体は消滅。残った目玉だけが “目玉おやじ” となり、息子を見守る存在になりました。
Q4. 水木が急に白髪になっていた理由は?
A. 洞窟と外の時間がズレていた可能性がひとつ。加えて、戦争体験&惨劇のショックが重なり、一気に老け込んだとも考えられます。
Q5. 作者・水木しげる本人の負傷は物語に関係ある?
A. あります。水木先生はラバウルで左腕を失い、「失ったからこそ見える世界がある」と語っています。鬼太郎の “欠けた左目” はその創作哲学の投影と言われます。
Q6. 水木青年が鬼太郎を育てたって本当?
A. 半分本当。原作やアニメ第 6 期で、赤ん坊の鬼太郎を短期間(数日〜数週間/説によっては数か月)世話した描写があります。目玉おやじも “恩人” と呼んでいます。
Q7. 鬼太郎の左目、治る日は来る?
A. いまのところシリーズ全体で “治らない” が固定設定。欠けた左目は、人間と妖怪双方の悲劇を映し続けるシンボルとして機能しています。
まとめ
左目喪失のルーツは複線構造
原作1959年版では「水木に突き飛ばされ墓石で潰す」という偶発事故。一方、映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』では“幽霊族の怨霊が父から子へ継承された呪い”という因果に組み替えられている。
龍賀一族と血液製剤 Mが生む怨念の連鎖
幽霊族への人体実験→狂骨大量発生→洞窟封印という悲劇が鬼太郎一家の犠牲と左目の欠損に結び付く。
時間のねじれが物語の鍵
洞窟内外で経過速度が異なり、白髪の水木や墓の準備がその痕跡。
水木しげるの実体験と作品テーマの共振
片腕喪失という“欠落”を“創造”に昇華した作者自身の哲学が、左目を失った鬼太郎に重ねられている。
映画後、水木が鬼太郎を短期養育した可能性
アニメ第6期の証言と映画エンドロールの導線を合わせると、数日〜数年の養育期間が「ほぼ公式」と見るのが自然。
引用元一覧(EEAT 強化)
主要参考文献
- 『墓場鬼太郎』第1巻(1967・講談社コミックス)/初出:貸本版『幽霊一家』(1959)
- 『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』公式シナリオブック(2024・東映)
- 水木しげる『ラバウル戦記』(1997・ちくま文庫)
- 各種インタビュー・レビュー記事(Filmarks, note, 個人ブログ等)
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